新しい封を切る
昨年暮れに、念入りに大掃除をしました。
普段、開けることの滅多にないキッチンの
棚を整理していると、奥に古い箱があります。
椅子に乗って、それを取り出す。
包装紙の様子から、結婚当時にどなたかから
頂いたものだとわかりました。
かなり高価なお皿のセットでした。
普段使いにはもったいないような洋皿の
セットです。
また、仕舞おうとして、ちょっと
考えました。
「元の場所にしまったら二度と目にする
ことはないだろう。
お客様用と言っても、うちには滅多に
客はこない。
しかも、自分が今普段に使っているのは、
ドーナツ屋さんでもらったお皿じゃないか」
私は、高価なお皿のセットを普段使いに
おろすことにしました。
その分、長く使っていたお皿を捨てる
ことに決めました。
お正月に母が来て、すぐにそれに気づいた。
「あら、いいお皿、使ってるじゃない」
と言って、そこにサラダを盛って
くれました。
わずかなことだけど、華やぎます。
「きれいなお正月」を過ごすことができました。
きっとあなたのまわりにも、
古いお皿が眠っていると思います。
いえ、お皿じゃなくてもいい。
「いつか着る」
と思って大事にとっておいた服
かもしれません。
人生には、「いつか」という包装紙に
包んでいるものが、必ずある。
「大事なときのために」と封をして
とっていたものがあるはずです。
その大事な日というのは、
今日かもしれない。
これからの残された日々が、
「いつか」なのかもしれない。
美しいお皿でご飯を食べながら、
そんなことを考えました。
人生がだいぶ熟成してきた私たちです。
「お客様用のお皿」や「晴れ着」を
普段使いにして、毎日を楽しむことに
何ら躊躇することはないはずです。
人生の持ち物の封を全て切り、
使い切っていく。
新しい年は、これを積極的に
やってみませんか。
きっと毎日が華やぎます。
自己肯定感も高まって、生活も
きれいになるはず。
さぁ、2020年の封を切りましょう。
・・・
<ひきたよしあきプロフィール>
株式会社 博報堂スピーチライターとして働く傍らで、明治大学で講師を勤める。
現在(財)博報財団にコラム「こどものコトダマ」、博報堂マーケティングエグゼクティブに「経営のコトダマ」、朝日小学生新聞「大勢の中のあなたへ4」、日経BP「カンパネラ」に「生きる力の強い女性」を執筆中。
<著書>
「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)
「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)
「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)
「机の上に貼る一行」(朝日学生新聞社)
「博報堂スピーチライターが教える短くても伝わる文章のコツ」(かんき出版)
「大勢の中のあなたへ2」(朝日学生新聞社)
「ひきたよしあきの親塾」(朝日学生新聞社)
「5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本」(大和出版)
「博報堂スピーチライターが教える口下手のままでも伝わるプロの話し方」 (かんき出版)
新著書「博報堂クリエイティブプロデューサーが明かす 「質問力」って、じつは仕事を有利に進める最強のスキルなんです。」 (大和出版)
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