3月は、立ち止まれ
多くの会社は、3月が年度末。
3月31日が、大晦日のようなものです。
桃の節句から桜の咲き出す頃までの
忙しさたるや、12月の比ではありません。
仕事の追い込みもある。
人事異動がでて、出会いや別れが
通告される。
子どもの受験の結果がでて、
4月からの準備に追われる。
公私ともに、大きな変化の中にあります。
Dr.コパさんの風水によれば、
今年は「変化を楽しむ年」。
当たっています。
あまりに大きな変化があちこちで
起きていて、右往左往する毎日が
続いています。
この時期に、西宮神社のおみくじを
引いたら、「半吉」でした。
「半吉」?
半分の「吉」って何だ?
あまり引かないおみくじをみると
「知るといふは誰のしれものはかりても
世のことわりはそこひなきもの」
とある。
「世の中の理(ことわり)は、
限りある人の力でははかりしれない
ものです。
小賢しい心でとやかく思わず、
神の御心に任すのが良い」
とのこと。
おみくじの最後には、
「すべて急がず、心をゆるやかに
持つのがよいでしょう」
と書いてありました。
これ、「変化」に対する警告として
実にすばらしいものだと感じました。
ことあるごとにビクビク、ドキドキ
してしまい、あれやこれやと未来を
案じてしまう私。
周囲がどっと動き出すと、
どこに向かって、何をするかも
わからずに小走りをしてしまう。
そんな小心者を諌めるのに、見事な
至言でありました。
3月は、変化の季節。
だからこそ、すべてを急がないこと。
立ち止まること。
環境変化の中で、
世の中における自分の価値とか、
自分の中の価値観が変わろうとして
います。
そこを冷静に眺め、
4月の新スタートに備えることが
3月の役割ではないでしょうか。
思えば、8年前のこの月に、
日本全体を揺るがす大地震がありました。
信じていたものが崩れ、
何もかもが止まり、
自分たちの価値観を再度見直すことを
強いられました。
あれに似たよう変化が、大小の
違いはあれどもみんなの中で起きている。
だからこそ立ち止まらなくてはいけないのです。
そんな風に考えていたら、メールが
入ってきました。
20年以上も前に同じ仕事をした仲間です。
久しぶりに食事の約束をし、
会ってみると実に楽しい。
昔話をするうちに、ふと今の自分が
失ってきたもの、忘れてしまったものが
見えてきました。
無理して仕事を入れていたら、
こんな会食はなかった。
小賢しくふるまわず、心ゆるやかに
待っていてよかった。
そう思える宴でした。
変化の時期だからこそ、
じっと待つ。
これが男の変わりドキ!の心得です。
三寒四温の日々の先、
変化のかたちが見えてくる頃には、
ほら、桜が咲いている。
新しい春が、やってきます。
<ひきたよしあきプロフィール>
1960年生まれ
株式会社 博報堂クリエイティブ・プロデューサーとして働く傍らで、明治大学で講師を勤める。現在朝日小学生新聞にコラム「机の前に貼る一行」日経ウーマンオンラインに「あなたを変える魔法の本棚」を執筆中。著者に「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)」「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)「机の上に貼る一行」(朝日学生新聞社)「博報堂スピーチライターが教える短くても伝わる文章のコツ」(かんき出版)「大勢の中のあなたへ2」(朝日学生新聞社)がある。最新刊は11月末に「ひきたよしあきの親塾」(朝日学生新聞社)https://amzn.to/2KQIDP2 を好評発売中