継続は、力なり
私にとっては5冊めの本
「博報堂スピーチライターが教える
短くても伝わる文章のコツ」が
3月7日に出ました。
おかげさまで発売当初から好調で
多くの方から評価を頂いています。
作者冥利に尽きます。
ありがとうございます。
自著を出すことは、
子どもの頃からの夢でした。
大学の頃は、
「28歳で芥川賞受賞」
と真面目に考えていました。
当時、「早稲田文学」の編集員に
なるには、論文の提出がありました。
私はそこに「三島由紀夫と制服」と
いうものを書きました。
合格したあとで編集長だった平岡教授から、
「とにかく、変わっていた」
という言葉をいただき、
有頂天になっていました。
ところが、そこで進歩は止まりました。
なぜかといえば、何一つ
書いていなかったからです。
仕事では、たくさんのコピーや
絵コンテを書きます。
しかし、それと
「28歳までに芥川賞」というものは
似て非なるものです。
こちらを書こうとしても、
当時はバブルのど真ん中。
家に帰るのは毎日3時、4時で
海外出張も頻繁にありました。
そんな龍宮城にいるような生活を
するうちに、ペンは錆び、
原稿用紙は、焼けて変色して
しまいました。
「書こう」
という気になるのは50歳の半ば
近く。
それも人から推される形でペンを
再び握りました。
しかし、自信はありました。
フェイスブックに、年間1000本
近いコラムを書いていたからです。
多いときには、日に5本。
二日酔いの日もハートブレイクな夜も
とにかく原稿を書く。
これが基礎体力になり、
筆力の自信につながっていたのです。
ものを書くのはマラソンと同じで、
呼吸がとても大事です。
日々書いていると、自分のリズムが
刻めるようになる。
文の呼吸が一定に保てるように
なります。
そのリズムに思考を合わせていけば
スルスルと文章がでるようになる。
このリズムは微妙なもので、
1日サボっても崩れます。
その呼吸が乱れるのが嫌なだけで、
毎日駄文を打ちまくっている。
読まれる方には大変申し訳ない
ですが、誤字脱字、支離滅裂、
妄想妄言、嘘八百が並んでいます。
それでも書き続けるうちに、
「これだ!」と思える
一言半句がでるようになる。
このアイドリングを続けるうちに、
今回で5冊の本を出すことができました。
「芥川賞」の夢とは違い、
子どもに向けた読み物や
言葉についてのノウハウ本だったり。
でも、この年齢だから書けることを
書いているので、達成感はあります。
さて、男の変わりドキ!です。
それは日々の生活の中で、
好きなものに費やす時間に比例
するのではないでしょうか。
書くことが好きで、書いてばかり
いるうちに、くるっと人生が回る。
書いて、書いて、書いて、書くうちに
三叉路にぶつかっても、すっと
書く道を選べる。
そうこうしているうちに、
変わりドキ!が訪れるのではないかと
思うのです。
昔通った予備校のスローガン
「継続は、力なり」
こそが、人生を好転させる力。
これからも命と気力のある限り、
本を出していくつもりです。
みなさん、よろしくお願いいたします。
<ひきたよしあきプロフィール>
1960年生まれ
株式会社 博報堂クリエイティブ・プロデューサーとして働く傍らで、明治大学で講師を勤める。現在朝日小学生新聞にコラム「机の前に貼る一行」日経ウーマンオンラインに「あなたを変える魔法の本棚」を執筆中。著者に「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)」「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)「机の上に貼る一行」(朝日学生新聞社)「博報堂スピーチライターが教える短くても伝わる文章のコツ(かんき出版)最新刊」がある。