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男のオトナの思春期 男の変わりドキ!㉗ 「やりたいことはなんですか?」

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やりたいことはなんですか?

先日、心を許せる仲間と話しているとき、

「やりたいことは何ですか?」

と尋ねられました。

「一番やりたいことは何ですか」
「今やっていることが、やりたいこと
じゃないんじゃない?」
「やりたいことが、結局見えない」

これらの言葉がずっと心に沈潜しています。

「自分のやりたいことは何だろう」

定年退職に近づいたサラリーマンの特徴かも
しれません。
「会社を卒業したら、あれもやりたい、
これもやりたい」
と思いつつ、具体的に考えていくと
「これが残りの人生をかけて
やりたいことなのか?」
と自分が自分に問いかけてきます。
すぐに結論がでるようなものではない
でしょう。

逆に「なりたくないもの」「許せないもの」
について考えてみました。
こちらはすぐに「いんちきスピリチュアル」と
答えがでました。高い壷を売ったりするのは
もっての他です。そうではなく、

「今のままでいいんだよ」

と現状肯定をしている風にして、
人がそこから脱皮しようとする力を奪う人。
甘言のぬるま湯につけておくことで、
金を稼ごうとする輩。
言葉を扱う人間として、これには
生理的嫌悪があります。

本物は、こんなことをしません。
例えば、故シスター渡辺和子さん。
物腰のやわらかい文章です。しかし、
自分を見つめる目は大変に厳しく、
うまくいかない自分、思いの至らない
自分を激しく叱る。その体験を通して、
読む側に生きる力や現状から抜け出す
術を教えてくれている。

よくお会いするDr.コパ先生も、
陽気な人ですが大変に厳しい一面も
あります。現状から脱皮するために、

「こだわりは足元にはない。
高鉄棒にぶら下がれ。そこに目標はある」

と叱咤につぐ叱咤。激励につぐ激励を
繰り返してくれます。

そう考えてみると、私の父もまた、

「人のふんどしで相撲をとる人間になるな」
「何かあったら、悪いのは間違いなく
 お前の方だ」

と優しい中に厳しさのある人でした。

そんなことを考えながら、再び

「やりたいことは何ですか?」

と自分に問う。
結論はすぐに出ないけれど、
コパ先生のような強い言葉に憧れ、
シスター渡辺和子の福音に目覚め、
父の言葉を反芻し、一度は自暴自棄に
なったメロスが立ち上がり、再び
走り出した「走れメロス」を書きたい
と思う。
俗な私に、そんなことができるかと
問われると自信はない。

でも、人生の大きな変わりドキ!を
迎えつつある今、後世の若い人に
読み継がれるものが遺書として残れば
それでいい。
そんな風に考えています。


<ひきたよしあきプロフィール>
1960年生まれ
株式会社 博報堂
クリエイティブ・プロデューサーとして働く傍らで、明治大学で講師を勤める。現在朝日小学生新聞にコラム「机の前に貼る一行」日経ウーマンオンラインに「あなたを変える魔法の本棚」を執筆中。著者に「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)」最新刊「大勢の中のあなたへ」(朝日新聞出版)がある。  

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