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【開催レポート】オトハル世代のリアルなストーリーを通して、あなたの変わりドキ!も考えてみよう 第4話:「困難を自分の力に変えたい時に効く話」

オトハルでは着物の講座でお馴染みの、高橋和江さんにじっくり人生観を伺いました。
「苦難福門」困難のあとには幸福が訪れると信じて、実直に困難を受け止めてきた和江さんの人生はきっとまだまだ面白くなる。

この日はなんと、和江さんのお姉さまも来てくださいました。
ちょっと気恥ずかしいかもしれませんが、目の前に家族がいるからこそ遠慮せず言えた部分もあるのかと、思います。
そしてこの日はもうすぐ3.11から6年を迎える週でした。ちょうど7回忌ということもあり、改めて気仙沼での当時の状況とお店の再開までをお話してくださいました。

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和江さんの忍耐強さ、理不尽な状況に負けない精神はどうやってできたのか…
たくさんのエピソードがあったのですが、長くなってしまうので3つにしぼって。

・長女として期待され、大切にされた姉との扱いの差
まだ家族社会が根強く残る土地で生まれ育ち、後継ぎというのはどこの家でも大事にされるもの。それに比べ、次女の自身はあまり手をかけられず、京染め屋を営む厳格な母からは、愛してほしいという願いを満たされることはなかった学生時代だったといいます。
演劇に打ち込み充実した生活だったが、どこか拠り所がない不安感を抱えていたそうです。

・自分の感情に徹底的に向き合う。怖いものは、なくす。
やっと根を下ろすことができると安堵した結婚、別れることはないと誓ったが、離婚。
小さなコミュニティーの中ではあることないこと、噂話はアッという間に広がり、言い返そうにもできない感情がどろどろと胸にたまる。
ある日「離婚するのは何か欠陥がある人間だからだ」という差別意識が自分にもあるから、被害意識が強くでるのではないかと気が付く。自分の思想の甘さを痛感し、恥し、そこから自分が抱えている感情と徹底的に向き合い続ける日々。
演劇をしていたので、脚本研究の経験から自分の感情を深く掘り下げるという癖がついているので、それが役に立った。
怖いものも、なぜ怖いのか自分の感情を読み解き、そして納得するまで調べる。今では、亡くなった父にまた会えるのかと思えば、死も怖くないと思う。

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・世間体や見栄に覆われない、わかりやすい人でありたい。すると集まる縁も変わった。
自分が世間的に非難の対象となってはじめて、人がいかに世間体を気にして生きているのかが分かった。身に着けるもの、食べるもの、仕事や学校、何かを選ぶときはもちろん、会話の中でも、無意識のうちに世間体を気にして本心を隠すような場合はよくある。
でも自分は、正直な、分かりやすい、裏表がない人間でありたいと思う。
そして他の人のことも、自分で感じたものと見たものを一番に信じ、他人の噂話は情報程度に聞いておくようにする。損得ではなく、自分の中の善悪で動く。人に会いに行く。助ける。
すると、同じように正直で、わかりやすいご縁が集まり、気持ちがいい人間付き合いができる知り合いばっかりになった。仕事も、プライベートもその方がストレスなく過ごせる。

和江さんは、終始同じペースでこんな話をするのですが、
本当に精神の芯の強さが、分かりますよね。
自分の感情に、徹底的に向き合い、そして人に包み隠さず表すというのはすぐには真似できないことです。

3.11、被災した当初の様子も写真を見ながらお話してくださいました。
裏手に津波が押し寄せ、ご遺体の捜索活動が連日すぐそこで行われていました。
朝、階段を下りて裏手にたまった瓦礫と水に朝日が当たるのを見ると、無性に涙があふれてきたのだそうです。その光の輝きの中に、たくさんの人の無念があったのでしょうか。
朝ひとしきり泣いて、そして店と家のたまった土砂の撤去作業をする日々。
泥だらけになって。爪がはがれるのも気が付かないような重労働の毎日。

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そんな大変な日々の中、店先に訪ねてきた人がいました。
「いつから再開ですか?」
はじめ面食らったそうです。こんな状態でまだしばらくは…とご説明すると
「洗ってほしい着物があるんです。」
そのときハッと我に返ったそうです。
 そうだ、こんな時にこそ、悉皆屋が仕事をしなくてはいけない。
それから京都の職人さんに連絡をとり、すぐに再開の準備をすすめ、
4月29日、周囲のどこよりも早く店を再開しました。
来る日も来る日も、たくさんの人が着物をもってきたそうです。
明日の身もわからない状況にあって、守りたい着物がこんなにも。
「どうしてもあきらめたくない」母の着物、祖母の着物、あの晴れの日の、思い出の...
着物の価値は値段だけでは決してなく、人の気持ちがたしかにのっている。
 改めて、着物で商売させてもらっていることの有難さが胸にしみ、一生懸命水で下洗いをしていました。
涙ながらに語る和江さんを前に、涙ぐむ参加者の方も。

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この日のお話を聞いて、和江さんが継ぐ予定ではないながらも家業を継ぎ、
被災しても懸命に再開を果たして今、日本中、引く手あまたの肌着開発者、悉皆のプロとなったのは運命だったように思えます。
厳しい業界の中、いつも明るく正直で、もっと盛り上げよう!と邁進する和江さん
オトハルでも引き続き、着付け講座をしながら着物ファンを増やして、和江さんの思いに貢献したいと思う夜でした。

プロ友:たかはしきもの工房 高橋和江さん
http://www.k-takahasi.com/

著書:『大人気の悉皆屋さんが教える! 着物まわりのお手入れ 決定版』
http://www.amazon.co.jp/dp/4309284752

この日も和漢ごこちをお土産に。
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