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男のオトナ思春期 男の変わりドキ!⑱「こどももオトナも変わりドキ!」

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朝日小学生新聞に「机の前に貼る一行」というコラムを連載しています。
本や有名人の言葉、身の回りにいる人の一言を中心に書いたコラム。
決まり文句が
「手紙をください。必ず返事を書くからね」
のおかげで、たくさんの小学生から手紙をもらいます。

毎週、必ず手紙が来ます。
多いときには100通弱も手書きの手紙が届きます。
もらった手紙を鞄につめて、暇があれば読む。
大事な過所に赤線を引いて、そこを中心に返事を
組み立てます。書くのはすべて手書きです。
タイピングしても内容は伝わるけれど「思い」までは届かない。
そう信じているからです。

2年近くこんな生活を送っていると、
子どもの成長に一定の法則があることを実感します。
一年ごとに悩む問題が見事に違うのです。

小学3年生は、「友だち」を一番の問題にあげます。
しかし、彼らの多くは「いっぱい友だちがいること」が大切。
内容よりも「1年生の頃に比べて友だちが増えた!」という
喜びの手紙をよく届きます。ちょっとシール集めやスタンプラリーの
数を競うのに似ています。

4年生になると、これが突然変わる。

「3年生までは人の前でしゃべるのが平気だったのに、
突然怖くなりました」

という悩みが増えます。先生にさされることを疎んじ、
自分とは反対の意見に立ち向かない自分にいらだちを覚える。
10歳になるあたりで「人から見られる自分」に気づくのです。
自我の芽生えですね。

5年生は、自己嫌悪。

「時間がないのにゲームが辞められない」
「テレビを見てついつい夜更かししてしまう」

と自己コントロールできない自分へのいらだちが募る。
それを指摘する親に反抗的な態度をとりだすのも
この頃からです。

6年生は、社会と未来の選択について悩みます。
進学の問題はもちろんですが、主には今習っているスポーツの
中から中学で部活に選ぶのをどれにするかといった問題に
ついて悩みます。
ここではじめて「社会」という意識が生まれ、それを自分で
選ぶことの怖さを手紙にしてくるのです。

一つ学年が違うだけで、小学生の悩みの質が変わる。
多くの子どもたちが

「お母さんにはナイショにしてください」

と書いてくるのは、こうした変化を見られたくないから
なんでしょう。子どもは一年一年が、激しい変わりドキ!
なのです。

では、大人はどうでしょうか。
さすがに1年の単位での変化は、人間関係や社会環境の
制約があるので難しくなります。
しかし、20代、30代、40代と進む中であきらかに
考えや行動に変化が起きている。

以前には許せなかったことが許容できるようになる。
昨日まで「誰にも負けまい!」と思っていたのに、
ふと気がつくと「みんなで分かり合いたい」と考えている。
会社でも上ばかり気にしていたのに、下が困っていることに
目がいく。自分が学び、身につけたものを少しでも還元しようと
行動している。

知らず知らずのうちに、私たちは「変わりドキ!」を迎えて
変わり、また次の「変わりドキ!」に向かって進んでいるのかも
しれません。

原宿に「塔里木(タリム)」という占いの館があります。
ここの占い師ジョセフィーヌさんと私は仲よくさせて頂いてます。

先日お伺いしたところ、恋愛の変化についてこんな風に話されて
いました。

「若い頃の愛は『種の愛』です。性愛ですね。これが真ん中に
ドンとあります。
次は『花の愛』です。生活の愛です。ともに生活していく中で
花を咲かせていく。これが愛の目的になります。
最後は、『香の愛』です」

「『香の愛』?」

というところで私は聞き返しました。「種」と「花」とは流れが
違うように思えたからです。

「はい。『香の愛』とは、慈しみです。もっと大きな宇宙的な
ものですね。風が吹いたら似合うような慈愛です」

と言われて、ぼーっとしていた。
するとジョセフィーヌさんが、こう告げてきたのだった。

「ひきたさん、『香の愛』を書いてください。自分のできる範囲の
ことをやっているだけでなく、もっと自分に正直な、内省をすれば
必ず書けます」

とジョセフィーヌさんは、次なる私の変わりドキ!を
ぴたりと未来の日時で指し示してくれた。

小学生ような「変わりドキ!」を果たして私はこの年で
できるのだろうか。

そんなことを考えながら、今日も子どもたちの便せんに目を通している。


<ひきたよしあきプロフィール>
1960年生まれ
株式会社 博報堂
クリエイティブ・プロデューサーとして働く傍らで、明治大学で講師を勤める。現在朝日小学生新聞にコラム「机の前に貼る一行」日経ウーマンオンラインに「あなたを変える魔法の本棚」を執筆中。著書に「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)」最新刊「大勢の中のあなたへ」(朝日新聞出版)がある。 

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