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「父ヒロシの笑う介護 」VOL10 濱野裕貴子 『饅頭こわい!』

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饅頭こわい!

数年前、父ヒロシが2か月の入院から戻ってきた後のこと。

朝、ヘルパーさんと何やら話していて、「それは『饅頭こわい』だな、わははは」と笑っているのが聞こえてきました。

ヘルパーさんが帰ったあと、やおら「早くカメラを出せ!」と言う父ヒロシ。
理由を聞いたら、

「ヘルパーさんが、饅頭を1000個持ってきたんだ! それが部屋の隅に積んであるから、カメラで写真を撮るんだ!」

ヘルパーさんが、饅頭を1000個、リヤカーに積んで持ってきたんだそうです(;゚Д゚)。

私が部屋の隅(父ヒロシ指定の位置)に立って「どこにあるの?」と聞いたら、なんと、私を囲むように饅頭が積んであるんだそうです!

話しているうちに、数がいつの間にか7000個に増えていました。
増える饅頭。民話にありそうですね(笑)。

「本当にあるのかなあ…」と言ったら、「なんでわかんねーんだ<(`^´)>」とご立腹。

懐かしのインスタントカメラ『写ルンです』を渡したら、部屋の隅の私(と饅頭の山)をパシャパシャ写して、満足していました。

高齢者には、入院中や入院後、脱水状態の時などに幻を見ることがあると聞いたことがあるのですが、実際に体験するとちょっと驚きますね。
でも(自他を傷つけるような危険行動さえなければ)、ある意味ファンタジー。
フムフムと聴いて、必要に応じて、自分も乗っかってみる。
そんな対応がいいみたいです。

その数日後…。
どうやら、あの饅頭が夢だったことに気がついたらしいです。

よっぽどインパクトがあったんでしょうね、しばらくの間、
「目ぇつぶっと饅頭出てくっから、おっかなくて眠らんに(目をつぶると饅頭が出てくるので、こわくて眠れない)」
と言っていました。

気がついて、よかったよかった。

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父娘ともに、甘いものに目がない! 写真は、とらやの最中「御代の春」。父ヒロシは紅(白餡)派です。


<<濱野裕貴子(はまのゆきこ)自己紹介>>
キャリアカウンセラー。夫と二人暮らしですが、同じマンションに東日本大震災後に上京してきた実父母がいて、日々介護もしています。タイトル写真は父ヒロシ34歳、私0歳の時です。

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