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男のオトナの思春期 男の変わりドキ!⑨

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 とてもよくしてもらっている友人に風水鑑定のDr.コパ先生がいます。
 毎月のように銀座で飲んで、笑う。
 その合間に一言二言アドバイスを頂くのですが、これが深い。
 
 腎臓がんとわかった時も、コパ先生にこんなことを言われました。

 「北の部屋をちゃんと整理しているか?
 ひきた君に下半身の病気が多いのは北の部屋を掃除して
 ないからだ」

 昨年、鼠蹊部ヘルニアも患っています。
 確かにこのところ病気が多い。家に帰って、北の部屋を見ました。

 書庫として使っている部屋です。
 以前はきれいにしていたのですが、東北大地震で本の山が
 崩れたあと、整理は完璧じゃない。その上、使わなくなった
 ソファと鍵の壊れた旅行用のスーツケースがありました。

 体調が悪いので片付けることはできず、そのまま手術へ。
 10日ほど入院して家のベッドで寝ていました。

 ブーン

 と夜中に音がする。
 なんだろうと思って、耳をそばだてると寝室にある
 小さな冷蔵庫からでした。入社の頃に買ったものなので、
 もう30年近く前のもの。それでも元気よく働いてくれて
 ここから冷えた白ワインなどを取り出して飲んでいました。

 しかし、元気ではありませんでした。けして声を荒げる
 ことはしませんが、「そろそろ私も限界だよ」と言ってる
 ように聞こえたのです。

 そのブーンがきっかけになりました。
 部屋を見回すと、使うことのないプリンターがある。
 動かないVHSレコーダーがある。
 目を閉じると、明確な意志が私の中で生まれました。

 「断捨離、しよう」

 コパ先生は、「がんは性格を変える病」だと言われました。
 私なりの解釈は、「がん体質」と判明したとたん、
 「これからの人生」が永遠に続くものではないことを
 細胞のレベルで思い知らされます。
 
 「残された人生を有意義に過ごすには、過去に
 縛られていたらダメだ。北の部屋のようにがらくたを
 積み重ねて見て見ぬふりをしているような生活の
 延長線上に充実した生活はない」

 そんなことが一瞬のうちに判断できるのが、この病気の
 恐ろしいところです。

 少し動けるようになってから一気に断捨離を進めました。
 粗大ゴミをだし、いらない本はボランティア団体に
 送りました。古い服や靴を捨て、ブランドのバッグも
 思い出の手紙や写真も捨てました。
 確かに私にとっては貴重なものですが、思い出は
 心に残っていれば十分。モノに頼らなくていけない
 思い出は、しょせんその程度のものです。

 断捨離は、今も続いています。
 部屋に空間ができるたびに、自分の体の風通しまで
 よくなるようです。

 限られた未来のために、不要なモノと思い出を捨てる。
 ゴミ屋敷の化した記憶や思い出を断捨離する。
 これは確実に、自分の変わりドキ!を実感できます。

 変わるとは、捨てること。
 夏休み、あなたも断捨離をしてみませんか? 


<ひきたよしあきプロフィール>
1960年生まれ
株式会社 博報堂
クリエイティブ・プロデューサーとして働く傍らで、明治大学で講師を勤める。現在朝日小学生新聞にコラム「机の前に貼る一行」日経ウーマンオンラインに「あなたを変える魔法の本棚」を執筆中。著者に「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)」「大勢の中のあなたへ」(朝日新聞出版 8月10日発売)がある。

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